かめるということ
何の気兼ねもなく食事ができることは当たり前のことです。しかしそのためには正し
いかみ合わせが維持されて初めて可能となります。
また、かむことで左右の顎の筋肉が伸び縮みし筋肉の筋紡錘が収縮し、その刺激が脳に伝わりさまざまな働きをします。
■海馬に・・・・・記憶力の向上
■脳下垂体に・・・ホルモンの分泌に作用し
表皮の新陳代謝促進
体脂肪の減少
■運動域に・・・・運動能力の向上
筋力向上、瞬発力の向上
左右の顎の筋肉の緊張のバランスのずれが筋紡錘から脳に伝わり左右の傾斜を
感知して体のバランスを保ちます。
かむ回数が多いと満腹中枢が刺激され肥満防止が図られます。
かみ合わせが狂うと肩こり・頭痛・不安感など不定愁訴の原因となります。
適正なかみ合わせ
本来人間の身体は左右対称に出来ています。ところが虫歯や歯周病で歯を失ったり、右でばかり咬む癖があったり、様々な原因で下顎がずれることがあります。この顎のずれにより顎自体に痛みを感じたり、ガクガクする症状が出ることがあり、顎関節症といわれる状態になることがありますが、それだけではなく、あごがずれると頭が傾き、頭が傾くと首(頚椎)がゆがみ、さらに身体がバランスを保とうとするために腰に負担がかかりと身体全体がゆがむことになります。また、咬んだり口を開けたりする筋肉は首や肩の筋肉と互いに引っ張り合ってバランスを保っていますが、かみ合わせが悪くあごがずれてしまうと筋肉のバランスが崩れ、左右どちらか一方の筋肉が過度に緊張し、血管や神経が圧迫されるようになります。それにより肩こり、偏頭痛、めまい等の様々な症状が出るようになります。
この様にかみ合わせの問題は決して歯だけにとどまらず、顔のゆがみ、そして身体全体のゆがみにつながり、全身の健康状態に大きな悪影響を与えます。適正なかみ合わせとは、この筋肉のバランスを保ちながら下あごを動かすことができ、食べ物を咀嚼したり、飲み込んだり、会話をしたりすることが問題なくできるものだと言えます。
以下の項目に当てはまる方は、かみ合わせのずれがある可能性があります。
- むし歯がないのに歯がしみる(知覚過敏)のがなかなかなおらない。
- 歯と歯の間がそれほどゆるくないのに、繊維質のものがよくはさまる。
- 前歯の被せものやつめたものがとれたり壊れたりしやすい。
- なんとなく歯ぐき全体的に重い感じがする。
- かみやすい側があり、いつも片方ばかりで咬んでしまう。
- 歯ぐきがどんどん下がっている。
- 頬の内側、舌、口唇を頻繁にかんでしまう。
- 走ったり・階段をおりたりするときに歯がひびく感じがする。
かみ合わせ治療
かみ合わせ治療のゴールは、顎の関節を中心として咬む筋肉がバランスよく働き、下顎がスムーズに動いてしっかり咬めるようにすることです。まずこの関節を介した上下の顎の位置関係が筋肉にとって理想的なバランスになるように顎の位置を決定し、常にその位置で顎が定まるように上下のかみ合わせを設定します。また舌を突き出すなど筋肉のバランスを崩してしまうような癖がある場合は、それを取り除く機能療法を行うこともあります。
理想的なかみ合わせに近づけ、みなさんが健康で良く咬める生活をおくれるように頑張っております。
顎関節症とは
顎関節症とは虫歯、歯周病につぐ歯科の三大疾患のひとつです。主な症状としては口を開ける時に“ガクッ”と音がする、口が開けづらい、口を開け閉めするときに顎関節周辺に痛みを覚えるなどがあげられます。
これは顎関節学会のガイドラインによると原因によって次の四つに分類されています。
[1] 顎の筋肉に問題があるもの
[2] 顎の周囲の靭帯に問題があるもの
[3] 顎の関節円板といわれる組織に問題があるもの
[4] 顎の関節の骨そのものに問題があるもの
人間の頭はとても重く、大人の平均は8kg程もあります。下顎はこの頭と顎関節・筋肉・腱によりつながっていて、ここでいろんな運動を行うことは身体にとってとても大きな負荷を背負って行っていることになります。かみ合わせのバランスが少しでもずれてしまうことによって、偏頭痛や肩こりなど様々な障害を引き起こす原因となります。
顎関節症はなぜ起こるのか
このかみ合わせのズレはどんな時に起きるのでしょうか?1つは精神的、肉体的なストレスによるくいしばりなどにより顎関節に負担がかかり筋肉のバランスが崩れ、その結果少しずつ咬み合わせがズレてしまい、そのズレによって更にくいしばりがひどくなるといった悪循環から起こることが考えられています。また、虫歯によって歯が抜けた状態のまま放置してしまったり、乳歯から永久歯への生え変わりがうまくいかなかったりしてもかみ合わせが悪くなってしまいます。
そしてもう1つは不適切な歯科治療によるものがあげられます。虫歯治療で1本の歯をかぶせ直しただけでも簡単に咬み合わせのズレは起きてしまいます。又、単に見た目の歯並びを良くするだけの目的の矯正治療はもっと大きくかみ合わせを狂わす危険があります。これまで歯科治療では顎関節や筋肉のバランスまでを考慮に入れた「自然な咬み合わせ」をゴールにした虫歯治療や矯正治療は軽視される傾向にありました。顎関節症の発症が、歯科治療を受けている頻度に比例して多くなっていることがこのことを如実に物語っています。かみ合わせは上下の歯が接触して成り立っています。かみ合わせの位置は、下あごの周りについている筋肉が一番リラックスした自然な位置と一致していることが望ましいとされています。